僕だけがいない街 第4話 「達成」 感想
過去の時間軸で起きた事件で「雛月 加代」が失踪した【Ⅹデー】は、誕生日前日の3月1日でした。
つまり3月1日を乗り越えて3月2日の誕生日を迎えることが出来たら、未来を変えた=「事件を防いだ」事になると考えた悟。
そもそも加代が犯人に狙われたのは、加代がいつも一人ぼっちで公園にいたからだと思われるので、できるだけ加代を一人にさせないことが未然に事件を防止することになると考えました。
それと、加代の場合誘拐殺人事件だけでなく母親からの虐待の問題もありますので・・・
特に土曜日は「母親が加代の顔を殴る日」でもあるので、悟は母親から加代を引き離すため、加代を科学センターに誘う事にしました。
▲「土曜日は雛月とデートだから遊べないって伝えた」
土曜日に科学センターに遊びに行こうと、ケンヤ、ヒロミ、カズ、オサムの4人を誘う悟でしたが、4人とも他に何やら大事な用事があるらしく、科学センターには悟と加代二人だけで行くことになりました。
悟と加代を二人きりにするために気を利かせているつもりなのかな? という感じでしたが・・・
「藤沼、何かあった?」と尋ねてくる加代に、
「土曜日は雛月とデートだから遊べないって伝えた」
と、またも思っていたことが「声に出てた」悟。
思ったことそのまま声に出すぎだろ、と突っ込みを入れたいところですが、思っていたことがストーレートに声に出ていた方が相手の警戒心も解けるみたいだし、手っ取り早く話が前に進んで良いんでしょうね。
第1話で、29歳の悟は頭の中でぐだぐだ考えているばかりで、思ったことをほとんど口に出さないタイプでしたが、過去に戻ってからは別人みたいに言葉が外に出るようになりましたね。
(それだけ切迫感が高いというか「やり直したい!」という気持ちの強さの現れなんでしょうかね)。
「デート」と言われて目を丸くして照れる加代。これまでに比べると反応が大分素直になってきました。
第3話で「給食費が盗まれた」騒動があった時、全力で味方になってくれたり、山の上のクリスマスツリーを見に行ったりして、今ではすっかり悟に心を開いているみたいですね。
あと、「母親に虐待を受けている姿」を悟に見られたのも結果的には良かったのかも。
加代は虐待されていることを他人に知られたくなくて、虐待や身体の痣を隠そうとしていましたが、
秘密を隠したまま何でもない「フリ(演技)」をすればするほど、人との間に壁が出来て一人ぼっちになっていたわけで、知られてしまえばもう隠す必要もなくなり一人で抱え込んでいた重荷から解放され、悟に心を開きやすくなるのかなと思います。
虐待を受けていることを知っても色眼鏡で見たりせず、変わらない態度で接してくれるので、ようやく加代も悟のことを本当に「友達」だと思えるようになれたのではないか・・・と思います。
(第2話では、友達なら「あたしのために人を殺せる?」とか物騒な事を言っていましたが・・・。「人を殺せる?」とかいうので、ちょっと魔性の女っぽい感じがしましたが、別にそういうわけでもなく人との付き合い方が下手なだけの素直ないい子でしたね。)
友達を助けるのに
損も得もない!
加代の母親に土曜日に科学センターに行く承諾を得ようとする悟。
土曜日は特に暴力が酷くなる日なので、加代を母親から引き離そうとする悟でしたが・・・
虐待がバレているのに開き直って加代を行かせようとしない加代の母。
「あんた何なの? こんな無愛想な娘を連れだして、何の得があるのよ?」と言う加代の母に対して、
「友達を助けるのに、損も得もない!」と言い放つ悟。
「あんたはどうなの? 行きたいの?」と加代に聞き、加代が頷くと、自分の意向に逆らったのが癇に障ったのか悟の前なのにいきなりキレて加代を殴ろうと手を振り上げました。
悟の後をつけていた悟の母が間に入って事なきを得ましたが・・・
土曜日、科学センターに来た悟と加代。
元々科学センターは悟のお気に入りの場所でよく来ていたとのこと。
特に入口にある熊のはく製が一番好きで、
「こいつ、俺の友達」と加代に紹介しました(「バカなの?」言われましたが)。
原作ではこの熊のはく製のことがモノローグで少し詳しく説明されていました。
自分はそれを「友達」のように認識していた気がする
「悲しい時 楽しい時 雨の日も晴れの日も変わらぬ姿で俺を迎え入れてくれる」ように立っていた。
それが当時の俺が抱いていた「友達のイメージ」だったのだろう
↑上の「友達のイメージ」の説明はアニメではカットされていたので、本筋にはあまり関係ない所かなとは思うのですが、子供の頃の悟にとっての「友達」のイメージについての説明ですからそれなりに重要ではあると思います。
どんな時も「変わらぬ姿で迎え入れてくれる」友達。
悟も子供の頃は人付き合いが苦手で友達が出来なかったようなので、子供の頃はそんなイメージの友達が欲しかった(必要としていた)のかなと思いました。
貧乏だからとか虐待を受けているとか片親だからとか、子供同士でも相手を色眼鏡で見て態度を変えたり離れていったりしますからね。
今の加代にとって最も必要なのは、まさにそのようなどんな時も変わらず迎え入れてくれる「友達」の存在なんでしょうね。
親から虐待を受けいつも一人ぼっちで、「どこか遠くへ行きたい」と願っているぐらい危機的な状況ですから。
(しかもいつも一人ぼっちだったせいで、知らないうちに殺人犯の標的にされているわけですからね)。
加代が悟に心を開いてきているのも、加代にとって悟が本当の友達になりつつあるという事なんでしょうね。
何だろう? この感じ・・・
既視感(デジャブ)・・・なのか?
よく来てた場所だけど、雛月と来るのは初めて・・・
藤沼・・・今日は誘ってくれてありがとう
あたしもここ好きだって知ってたの?
同じ時を繰り返している・・・?
未来を変えるつもりが・・・
知らず知らず、同じ時のレールに乗ってしまっている・・・?
勇気出して来てよかった
科学センターは土曜日なのにほとんど人がおらず、ほぼ貸切状態。
(ちなみに「苫小牧市科学センター」って実在するみたいで建物の外観も作中とほぼ同じのようです)。
ほとんど人のいない館内を回る二人。
「勝手に入り込んでるみたいでドキドキしない? 俺人居たら隠れたりしてるよ」と悟が言うと、
「バカなの?」言われると思ったら何も言わない加代。加代も科学センターによく一人で来ているらしいので、同じように隠れたりしているんでしょうか(やっぱり似た者同士!?)。
館内を二人で回っているうちに、何度も既視感(デジャブ)を感じる悟。
実は過去の時間軸で一人で科学センターに来た悟は加代と偶然会っていて同じ会話をしていました。
同じ時を繰り返している・・・?
未来を変えるべく行動していたはずなのに、なぜか意図せず同じ時を繰り返していることに気が付き焦る悟・・・。
細かい所は変わっているものの、運命の大きな流れからは脱し切れていないのでしょうか・・・?(歴史の修正力のようなものが働いている?)
バタフライ効果のようにちょっとした行動が大きな変化になることもあれば、未来を変えようともがいているつもりでもいつの間にか同じ時を繰り返してしまっていたり・・・運命を変えようとしても何がどう変わるか先が読めず予測するのが難しいようです。
あと気になったこと。
過去の時間軸で同じ会話をしていた加代は「マンガ描こうなんて人はこーいう所来たがるもんなの・・・」と悟に言い、
悟は「なんでマンガのこと知ってんの・・・?」と驚いていましたが、原作でもまだこの伏線は回収されていないんですよね。
何で加代は悟がマンガを描いていることを知っていたのか(そういえば過去編ではマンガの話はこの時出てきたぐらい?)。文集の悟の作文に何が書かれていたのかもまだ明らかになっていないので、その辺で繋がるかもしれない?という可能性があるみたいですが・・・。
ついに「Ⅹデー」となる3月1日になりました。
18年前のその日、夕方6時ごろ悟は秘密基地(アジト)に手袋を取りに行く途中いつものように公園で一人で立っている雛月加代の姿を見ました。
その後、アジトから最短距離で公園に戻って通り過ぎた時にはもう加代の姿はありませんでした。
(この時、悟はアジト近くの土手にユウキさんが座っているのを見ている)。
いつも一人ぼっちで公園に立っていたから犯人の標的にされたと考えている悟。
今回は過去の時間軸の時と違って、加代を一人にしていないので事件は防げるはず・・・
「おはよう雛月」
「・・・バカなの?」
「Ⅹデー」の日。夕方6時半ごろまで児童館で遊んで時間をつぶし、雛月を家まで送り届けました。
過去の時間軸では、公園で見たのが最後で加代の母親の証言では学校に行ったきり帰ってこなかったようなので、家まで送り届ければとりあえず安心ということになりますね。
翌早朝、一睡もできず。少しでも早く加代の顔が見たくて家の前に座り込む悟(ストーカーみたいですがw)。
「バカなの?」言われてしまいますが「Ⅹデー」を乗り越えて、無事誕生日を迎えることができたわけですね。
ありがとう藤沼・・・
みんなもありがとう
3月1日に起きるはずだった誘拐(殺人)を回避し、無事11歳の誕生日を迎えることができた悟と加代。
誕生日会のため悟の家に行くと、悟の母やケンヤ達が誕生日会の飾りつけを終えて二人をクラッカーで出迎えました。
科学センターに行った日、ケンヤ達が「用事がある」と言っていたのはこの飾りつけを作る準備のためだったんでしょうか。
また、飾りつけの準備を済ませるまで二人を足止めするため八代先生が協力してくれたり、加代の誕生日が悟と同じ3月2日であることを教えてくれたのも八代先生とのこと。
第3話のラスト、夜の職員室でいかにも怪しい雰囲気で八代とケンヤが何か話していましたが、それも悟と加代のことだったんでしょうか・・・?
過去の時間軸では誕生日前日に殺されて悲惨な目にあうだけの加代でしたが、
友達が出来て誕生日を祝ってもらって幸せそうでよかったですね。
ちょっと前まで人と目を合わせようとせず全く笑わない子だったのに・・・。
藤沼と・・・みんなも
友達になれてよかった・・・
今日はありがとう
プレゼント明日渡すね
約束。おやすみ
翌日。雛月は学校に来なかった
雛月と最後に交わした約束は
果たされなかった
「Ⅹデー」を超え、誕生日会を終えついに歴史を変え未来を変えることに成功しました。
達成感で飛び上がって喜ぶ悟・・・
家に帰ると安堵と寝不足のため翌朝まで泥のように眠りました。
しかし、翌朝加代は学校に来なかった・・・。
今回のラストの引きの強さも完璧でしたね。
第1話の引きの強さもすごいものがありましたが、今回もそれと同じかそれ以上のものがあったと思います。
みんないい奴ばかりで、加代も心を開いて幸せそうにになっているし、このままハッピーエンドでいいんじゃないの・・・?というところからの急転直下のラスト。
天国から地獄に真っ逆さまに叩き落されるような展開の残酷さが素晴らしいですね。
しかし、誕生日会を終えて家まで送り届けたというのに、一体なぜ・・・?
家に帰った後、加代の身に何があったのか・・・?
悟は加代を一人ぼっちにしなければ事件を防ぐことができると考えていたようですが、
どうやら防ぐことはできなかったようですね(通り魔的な犯人の犯行なら防ぐことができたと思いますが・・・)。
たった2週間ちょっとの期間でかなり手は尽くしたように思えるのですが・・・
未来を変えるにはまだ何かが足りなかったのでしょうか・・・
実はすでに原作は大体読んでしまっているので、先の展開は知っているのですが、
知ってても気にならないぐらい面白いですね。
雑なアニメ化だと原作と比較して不満が出てきがちなのですが、アニメの出来が非常に良いので展開を知っていてもぐいぐい引き込まれます。
残りの話数でまとめ切るのは難しそうではあるのですが、
引き続き楽しく視聴を続けようと思います。
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