僕だけがいない街 第5話 「逃走」感想
前回、「Ⅹデー」を乗り越え誕生日を迎えたことで、事件を防ぐことに成功したと思っていた悟でしたが、その翌日「雛月 加代」は学校に来ませんでした。
学校を抜け出し、加代の家に行ってみた悟でしたが誰も出て来ず・・・
しかしカーテンを閉め切った家の中には、加代の母親と、母親の交際相手の男と、痣だらけの身体で仰向けに横たわる加代の遺体が・・・
誕生日会を終えて家に帰ってきた後、加代の身に一体何があったのでしょうか・・・?
状況からみると加代の母が暴力をふるって殺してしまった(物置小屋に放置して凍死させてしまった)ように見えるのですが、物置小屋の前には大人の男のサイズのゴム長靴の足跡が残っており、別の人間(真犯人)が加代の死亡に関与している可能性も示唆されているのですが・・・
加代を殺したのが加代の母親なのかまだ確定したわけではありませんが、少なくとも昨夜母親による暴行・虐待があったのは間違いないようです。
悟が加代と一緒にいるようになってからはしばらく母親の暴力は止まっていたようなのですが、どういうわけかよりによって誕生日に再び暴行を加え物置小屋に放置するとは・・・。
悟たちに誕生日を祝福されて幸せそうにしていた加代でしたが・・・母親は娘の誕生日を祝うどころかストレス解消のために娘に暴行を加える始末。そして幸せな誕生日が一転して最悪の結果になってしまいました・・・。
プレゼント明日渡すね
約束
娘の失踪からわずか十日後
その母親が捨てたゴミ袋の中には・・・
生死も定かではない筈の娘の服・・・そして
編みかけの毛糸の手袋が入っていた
「雛月 加代」は3月3日に失踪。
行方不明で生死不明のため「家庭の事情で雛月は祖母の家で暮らすことになった」と担任の八代先生は教室の子供たちに話しました(子供たちに配慮して学校・PTAが決めたこと)。
悟の母も以前TV局(テレビ石狩)に勤めていたコネで事件の報道を規制(深夜・早朝の時間帯のみに放送)するという根回しをしました。
しかし事件からわずか6日後、第2の失踪事件が発生(被害者は隣の小学校の「中西 彩」)。
当初「容疑者」とみなされ警察にマークされていた加代の母親でしたが、第2の失踪事件が起きたことで、他の犯人による犯行の可能性が高まり警察からの容疑が薄れたようです。
(遺体を山のゴミ捨て場に遺棄したのは母親なのでそれはそれで犯罪なんですけどね・・・)
それにしてもこの「真犯人」はすぐさま第2の事件を起こすなどかなりアグレッシブな性格のようです。
公開捜査になっておらず加代の母親が容疑者の段階で、警察や住民の警戒がまだ緩い隙を衝いてきました。
悟は加代を一人にせず、手をつないで歩いたり目立つようにアピールをしていれば犯人の標的にされることはないだろうと考えていましたが(実際それで犯行を「一日」遅らせることができたのですが)、どうやらそれで諦めるような犯人ではなかったようです。
犯行の困難さが増してもあえてそれを乗り越えようとする「しつこい犯人」なんでしょうかね。
雛月加代の失踪から十日後、悟が加代の家の前を通りかかった時、ゴミ袋を捨てる加代の母親の姿を見ました。
不気味な「笑み」を浮かべた母親が捨てたのは、生死不明なはずの加代の服と編みかけの手袋・・・
ショックを受けた悟は叫びながら走り出しますが、またも突如「リバイバル」が発生。
過去に起きた事件を何も解決できていないまま、再び2006年5月の時間に戻ってきました。
2006年に戻ってきたものの、母親は殺された後で、手が血まみれの状態で警察から逃げた為「重要参考人」として警察から追われる立場になっていました。
「真犯人」は他にいるのに、状況は悟に不利ですし、犯人を追うため悟は覚悟を決め警察から「逃げる」事に決めました。
子供の頃「ユウキさんは犯人じゃない!」と警察に証言したのに信じてくれなかった過去がありますから、それ以来悟は警察不信・警察嫌いになっているみたいですね。
原作とアニメの比較ですが、警察に疑われる過程・理由がかなりカットされているので、アニメ版は「警察から逃げなくてはならない理由」が弱くなってしまっていますね。
「真犯人」は悟に罪をなすりつけ悟を「犯人」に仕立て上げるため周到な罠を仕掛けていたのですが、それらがカットされているので、アニメだけ見ると「殺したわけではないのに何で逃げるんだ?」という疑問が出てきてしまうかな・・・と思います。
アニメの場合はどうしても尺の制限があるので説明的な部分は省略せざるを得なくなり、分かりにくくなるのは仕方がないかな・・・と思いますけどね。
特にミステリーやサスペンス作品は事実関係を説明するための情報量が多くなりますので、情報の取捨選択・簡略化が難しくなるのだと思います。
原作(マンガ)とアニメは表現形式が違うので、それぞれ長所短所があり、不足する部分があればお互い補い合えたらそれが理想的なんでしょうね。このアニメ化の出来は非常に丁寧で素晴らしいので、説明的な部分は原作を読んで補完すればいいのかなと思いますね(アニメ全12話の尺でこの原作8巻分を完全に再現するのはまず無理ですからね・・・)。
警察に追われて行き場のない悟でしたが、携帯にバイト先のピザ屋の店長から連絡があり、店長の家に行き飯を食わせてもらいます。
しかし店長は悟を警察に引き渡すため、既に警察に通報済みでした。
店長の部屋にレオナルドダヴィンチの「最後の晩餐」の絵が掛けられているのですが、
あれは店長の「裏切り」(ユダがキリストを裏切る)を表しているんでしょうかね。
この「最後の晩餐」はアニメオリジナルで追加されたものですが、原作後半の展開を補完する意味もあるのかな? と思いました。
原作の後半、サイコキラーの「真犯人」はストーカーのように悟を見守りながら、悟に「キリスト」のイメージを重ねて見るようになっていくのですが、その辺の伏線をいれてきたんでしょうか(「キリスト」という固有名詞は出てこないのですが)。
加代やケンヤ(と他の仲間)にとっても悟はヒーローとして象徴的な存在になっていくのですが、これもキリスト的なヒーロー像を重ね合わせているんでしょうか?(子供にとっての特撮ヒーロー的なイメージでもあるんでしょうけど)。
店長の家の前に警官やパトカーが集まっていることに気付いた悟は、塀を乗り越えて裏から逃走します。
そこに偶然現れたのが、ピザ屋でバイト中の女子高生「片桐 愛梨」。
「バカなの?」
と言いながら登場したので、「雛月 加代」が現代に蘇ったのか・・・と思いましたが。
悟が母親を殺すわけがないと信じて、逃走中の悟を家にかくまってくれました。
しかし、何でアイリが加代の口癖だった「バカなの?」を使うようになったんですかね?
明らかに意図的なものを感じるのですが・・・よくわかりませんね。
加代が死んだ年とアイリの年齢が近いことから「アイリは加代の生まれ変わり」説なんていうのもあるみたいですが・・・。
生まれ変わりとか作品の世界観に合わないと思うので、さすがにそれはないだろ・・・と思うんですけどね。
(単にアイリを再登場させる時のインパクトを強めるための演出なのかもしれませんけどね)。
「バカなの?」以外にも加代、アイリ、悟母の三人の女は何度か同じセリフを言うシーンがあるんですよね。
悟がバイクで事故って入院していた時、夢の中の加代とアイリが同時に「目が開いた」と言ったり、
「口に出しているといつか本当になる気がするよ」と、同じようなセリフを言ったり。
加代と悟の母も「ジョーダンに決まってるべさ」と同じセリフを言ってましたね。
あと、母親に虐待されて痣ができた加代が悟に「転んだの」とウソをついていましたが、悟母も建設会社の社長に言い寄られて殴られケガをしたとき、幼い悟に「転んだ」だけと言っていました。
見た目も性格もかなり違うように見える3人の女ですが、妙にセリフや行動のシンクロ率が高く意図的な狙いがありそうなのですが・・・。
3人の女性キャラを同じセリフでシンクロさせることで同一性を持たせようとしている? 感じでしょうか。
メタ的な解釈ですが、悟にとって「大事な女性」という意味で、作品上の位置づけとして3人の女は同一・同質的な存在・・・ということなんでしょうか(謎)。
ピザ屋に出入りし信号の位置を変えるなど便宜を図っている市会議員・・・。
いかにも怪しげに登場した人物なわけですが、原作を読んでからよく考えてみると「なんでお前がここにいるんだ!?」という謎の不気味さがありますね。
店長とのやり取りからしてかなり前からピザ屋に出入りしていたようですし、実は以前から悟の行動をチェックしていた? ということなんでしょうか(それともただの偶然?)。
自分と関わりが合った人間を陰から調査・観察する性癖があるんでしょうか(自分の犯罪に利用できそうな人間の候補リストみたいなものがあるんでしょうかね)。
悟の味方のふりをしながらアイリの家の前で張っていて、悟がアイリの家に入るのを確認すると、すぐさま警察に通報しようとする店長。
悟を「信じている」フリをして裏切っていた店長の行動がアイリの逆鱗に触れ、
携帯をたたき折られた上グーパンマジ殴りでぶっ飛ばされてしまいました。
警察の捜査に協力しようとしているだけで、別に悪人というわけではないと思いますけどね。
店長はアイリに気があるようだし、アイリと悟は仲がよさそうでしたから(第1話で一緒にカレーを食べた話を店でしていて、悟とアイリが付き合っているように見えましたからね)、
警察に悟を突きだせば、容疑者を捕まえたという自分の手柄になるし、悟とアイリの仲を裂くこともできるし一石二鳥になりますね。
(軽薄で小賢しくてウザいキャラだけど普通によくいそうなタイプの人という感じ)。
アイリの怒り方も尋常ではないですね、店長の言い訳に耳を貸さず怒りの鉄拳で顔面を粉砕しました。
なぜそこまで怒る必要があるのでしょうか・・・?
愛梨の「信じたい」は自分のためだよ
誰かに「信じて欲しい」の裏返しなんだよ
愛梨が小学生の頃、父と田舎の個人商店に買い物に行ったのですが、
父が板チョコを万引きしたと店主に疑われ、認めようとしなかったことから警察沙汰になったとのこと。
警察沙汰になったことから仕事を停職処分にされ、辞職。さらに離婚まですることになり、その土地に居られなくなった父は家を出て行ったとのことでした。
愛梨は父とずっと一緒にいたので、父はチョコを盗んでいないと訴えたのですが信じてもらえなかった。
これは悟で言うと子供の頃の連続誘拐殺人事件で警察が悟の証言を信じてくれなかったこととよく似ていますね。
愛梨も悟とよく似た心の傷を持っていて、ついでに同じように警察不信・警察嫌いなんでしょうかね。
チョコ1枚で辞職・離婚とか悲惨としか言いようがないですが・・・
やってもいないことで泥棒呼ばわりされたら、認めるわけにはいかないですよね(特にまだ小さい娘の前では)。
たかがチョコ1枚ですが、その人が真面目すぎたり田舎の特殊な人間関係だったり、最悪の条件が重なって思いもよらない重大な結果につながってしまった・・・という事でしょうか。
例えば電車で痴漢に間違われたことから辞職とか離婚とかの話もあるみたいなので、きっかけは些細な事でも不運な偶然が重なると恐ろしい結果に繋がるというのもあり得ない話ではないですね。
そういえばアニメの第3話で「給食費紛失事件」が起きて加代が疑われ犯人扱いされそうになりましたが、悟は全力で加代の味方をしていましたね。
誰も信じてくれない時、信じてくれる人の存在がどれだけ大事なものかという事でしょうね。
(加代も悟が信じてくれたから心を開いて友達になれたんでしょうからね)。
ところで、愛梨はこの作品のヒロインですが小学生編のヒロインの雛月加代に比べると存在感が少し薄いかなという感じがします。
チョコの万引きを疑われたことで父が離婚して家を出て行ったというエピソードが悪いわけではないのですが、加代や悟の子供時代のエピソードに比べるとややパンチが弱いかなという気がします。
もう少し愛梨の子供時代を掘り下げるようなエピソードがあってもよかったのでは・・・と思いました。
(愛梨はそういう役割のヒロインではないのかもしれませんが)。
家に荷物を取りに戻ってきた愛梨。
その時、悟母の携帯から送信されたメールを受信しました。
「藤村悟です その場を動かないで」と書かれていましたが・・・
いつの間にか階下から家に火が回っており、逃げようとした愛梨は煙を吸って倒れてしまいました・・・。
これも「真犯人」の仕業なんでしょうか・・・
それにしてもこの犯人・・・アグレッシブというか常に先手を打ってきますね。
非常に慎重で用意周到でありながらそれでいて非常にアグレッシブでもあるという・・・。
やらなくてもいいのでは? と思う事まで先手を打って仕掛けてきますからね・・・
上手く社会に溶け込んでいるようですが実は異常性の高いサイコキラーなんでしょうね。
原作の方は次号のヤングエースで最終回なのだとか。
真犯人との決着も着くんでしょうかね。
自分はコミックスで読むつもりなのでまだ先になりますが・・・(6月ごろ?)。
しかし本当にアニメ版は1クールで最後までやるんでしょうか?
最後の方はオリジナル展開になるんでしょうかね。
原作もアニメも先がどうなるか読み切れずこれからも楽しみです。
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