僕だけがいない街 第7話「暴走」 & 第8話「螺旋」感想

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ケンヤ:「そういや悟・・・先々週ぐらいに貸した本読んだ?

ポーの「入れ替わった男」ってやつ」

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悟:「ゴメン。借りた本・・・無くしちゃったみたいなんだ」

ケンヤ:「本のことなら気にしなくていいよ

そんな本無いんだ」


再び昭和63年に戻ってきた悟。 

今回は雛月加代と科学センターに行ったところから「リバイバル」がスタートしました。

前回は詰めが甘かったため加代が殺されるバッドエンドでしたから、 
今度こそ何がなんでも事件を防ぐと決意を固める悟。

ずっと一緒にいたのに、唐突に目に涙を浮かべている悟を見て、加代もいぶかしげな表情をしていますね。 
原作にはあまりそういう描写はなかったのですが、アニメでは加代は「悟の様子が急に変わった」ことに気が付いているような表情になっていますね。


悟の様子がまた少し変わっていることに気が付いたのは加代だけではなく、 
ケンヤもすぐに気が付いていたみたいですね。

ポーの「入れ替わった男」という本の名前を出して、悟にカマをかけてきました。

「そんな本無いんだ」とケンヤは言っていましたが、本を貸していないし、 
そもそもそんなタイトルの本は実在していないようですね。

ケンヤの誘導にまんまと乗せられた悟。 
このケンヤの小学生離れした能力は何なんだ? という感じがしますが・・・。 
(中身が29歳の悟が、簡単に転がされてますね)。

 

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 俺が悟の変化に気づいたのは、悟が雛月のことを見てた日だ

雛月の傷に俺は、ずっと前から気付いてた

だけど何もできなかった

俺はいつもこうして人のことを引いてみてる

なのに、その俺の目の前で

お前は踏み込んで行った

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 俺にはまるで、「こうやるんだ」・・・っていう「意思」が悟に入り込んで

俺を叱ったように思えたんだ

悟 お前は何者なんだ?

 

「お前は何者なんだ?」というケンヤの問いに対して、

正義の味方 ・・・になりたい人・・・」と答える悟。

前回、第6話では悟は自分のことを「死神」に例えて話していましたが、 
本当は子供のころからずっと「正義の味方」になりたかったんでしょうね。

なりたかったけどなれなかった、でもこうして大リバイバルで過去の事件当時に戻ってきて、今度こそ本当に「正義の味方」になりたい。ということでしょうか。

2006年の悟も小リバイバルで度々事件・事故から子供の命を救ってきていたので、十分すぎるほど「ヒーロー」だと思うんですけどね。

自嘲交じりに自分を「死神」に例えていたのも、18年前の事件がずっと心に暗い影を落としていたからなのでしょうか。


ケンヤは小学生離れした知力の持ち主で、加代の体の傷のことも、悟の変化にもいち早く気が付いていました。
ケンヤも正義感の強い少年ではあるのですが、引いて見ているだけでアプローチする踏ん切りがつかず、
結果的には傍観者でいることしかできていませんでした。

そんな傍観者でしかなかった自分の目の前で、雛月に踏み込んで行った悟。
加代の体の傷や文集のSOSに気が付いていたのに、傍観者でしかなかったというのは、結果的には見て見ぬふりをしているのと同じことですからね・・・
「俺を叱ったように思えた」というケンヤの言葉でしたが、これは傍観者でしかいられない人間なら誰しも思い当たるというか、見て見ぬふりしかできない人間の「罪悪感」のようなものなんでしょうね。

 

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 ケンヤ:「協力させてよ。俺もなりたいからさ

正義の味方」

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 ケンヤ:「正義の味方って貧乏くじ引くんだな」

悟:「(知ってた)」

 

「協力させてよ。俺もなりたいからさ、正義の味方」と悟に言うケンヤ。

悟に頼もしい仲間ができましたね。

話し込んでいたために授業に遅れて、バケツを持って廊下に立たされる悟とケンヤ。


正義の味方にあこがれるのはいいけど、なかなか楽じゃないということですかね。 
自分が他人のために損をする覚悟がないと、「正義の味方」にはなれないんでしょうね。

それも戦う相手になるのはやっかいな殺人鬼ですから・・・ 
下手をすると自分の命を犠牲にしなくてはならないという。

普通の人にとっては、正義の味方になりたい気持ちはあるけれど、 
自分が損をするのは嫌、というのが本音でしょうかね。

正義の味方には、なりたくてもなかなかなれないのが現実ですから、なんだかんだで悟は結構すごい奴なんでしょうね。(「リバイバル」という超能力者でもあるし)。

 

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 ユウキさん:「やったあ!カヨちゃん!それって最高の結果っしょ!」

 

ユウキさんに、加代が最近悟たちの友達グループと一緒に遊ぶようになったと話すと、自分のことのように大喜びするユウキさん。

なんか妙にどもったりキョドったりして、紛らわしい態度で、これは不審者とか誤解されるのも無理ないような・・・。

悟の時と同じように、ユウキさんは一人ぼっちだった加代にも、これまで何度も話しかけていたようですね。

そういえば科学センターに行ったとき、加代が「勇気出して来てよかった」と言っていましたが、それもユウキさんからの影響だったわけですね。 
ガードが堅そうな加代ですが、ユウキさんには心を開いていたみたいですね。 

ユウキさんも、悟や加代と同じように人付き合いが苦手な子供だったみたいですから、似たもの同士の先輩なので、悟も加代もユウキさんのことが好きだったんでしょうかね。

一人ぼっちの子供に話しかけるというユウキさんの性質を利用して、真犯人は今回の連続誘拐殺人事件を計画していました。 

一人ぼっちで孤立した子供を標的にする真犯人と、一人ぼっちの子供を手助けしようとするユウキさんですから、同じ街に住んでいても、まったく真逆の人間ですね。
(実は真犯人とユウキさんは子供のころから面識があるのですが)。

一人ぼっちの孤立した子供が狙われているわけですから、ユウキさんが悟や加代に声をかける行為は結果的に犯罪防止に効果があったんでしょうね。 

真犯人は逆にそれを利用して、ユウキさんを事件の身代わりに仕立て上げていったわけですが・・・

 

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 悟:「雛月 あのさ・・・。今からお前のこと誘拐するけど いい?」

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加代:「・・・バカなの?」

悟:「うん。だからこれしか思いつかなかった」

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加代:「いいよ」

悟:「そう言ってくれると思った」


そして3度目の3月2日(悟にとっては3度目の11歳の誕生日)。

前回のリバイバルの時と同じように、悟の家で悟と加代の誕生日会が行われました。

前回はこの誕生日会の後、加代は母親に虐待され物置に閉じ込められ、殺人犯に連れ去られ殺害されました。
前回の失敗を踏まえ、なりふり構わず事件を防ごうと行動する悟。

誕生日会を途中で抜け出し、まずはユウキさんにアリバイを作るためユウキさんの父親の部屋に「殺す」と書かれた紙と一緒に、大きな石を投げ込み窓ガラスをぶち壊しました。 
ユウキさんの父親は警察に通報して、警官がユウキさんの家に駆けつけてきたので、警察がユウキさんのアリバイを証明してくれます。

次に悟は虐待の元凶である加代の母を歩道橋の階段から突き落とし、この後の加代への虐待を防ごうとしますが・・・ 
悟の後を付けていたケンヤに制止され、加代の母親を階段から突き落とす作戦は中止になりました。

しかしこのまま家に帰ると、加代が殺されてしまう・・・。

そこで悟が思いついたのが、自分たちで加代を誘拐する(加代を母親と殺人犯から隠す)ことでした・・・。 
(警察を巻き込んだ事件にすることで、児童相談所を動かし加代を母親から引き離す作戦)。

「今からお前のこと誘拐するけど、いい?」と悟に聞かれて、 

少し考えた後、「いいよ」とはっきり答える加代。

一応いつものように「バカなの?」といいますけど、悟の突飛な提案を笑ったり拒否しようとせず、素直に悟のいうことに従いますね。 

悟が母親の暴力から自分を守ろうとしてくれていることは加代もよく分かっているので、全面的に悟を信頼し自分の身をゆだねる覚悟ができているみたいですね。
クラスで冷やかされても悟がつないでくれた手を自分から振りほどこうとはしないし、「バカなの?」が口癖で、人付き合いが下手で不器用な加代ですが、芯が強くて本質的には素直な女の子なんでしょうね。
余計なことは聞かないし、悟のいうことに素直に従うし、なんか悟の「被保護者」みたいになってきてますけどね。

 

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 加代:「ありがとう。悟、賢也君」

ケンヤ:「礼はいいよ。友達だろ加代ちゃん」

悟:「俺たちが必ず加代を守るから」

 

加代をかくまうため隣の小学校で物置代わりに使われている廃バスにやって来た悟たち。
灯油ストーブとランプを運び入れ、段ボールを窓に貼り外から見えなくして、布で仕切り後部座席あたりにスペースを作り加代を隠すアジトを作り上げました。
とっさに思い付いた誘拐計画の割には手際がいいですね(ケンヤが有能なおかげ?)

とにかくこれで、今夜加代は殺されずに済んだわけですね。 

そして何日か加代を行方不明にして、あえて騒ぎを起こすことで児童相談所を動かし加代を保護させる計画。

「俺たちが必ず加代を守るから」という悟の言葉が頼もしいですね。 

この子供だけの秘密、とか子供たちだけの秘密のアジトとか、なんかノスタルジックでいいですね。
加代にとっては母親からの強い抑圧・束縛から逃れて、母親に無断で家に帰らないという、かつてない大冒険だろうし、少年探偵団的な? ドキドキ感がすごくいい感じですね。 

加代もこれまでこんな風に誰かに守られたり、大事にされるという経験がなかっただろうし、
読者・視聴者としては加代が酷い目に合わず、幸せそうにしていると見ていてほっとしますね・・・。

  

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 悟:「夏にさケンヤたちとキャンプの計画立ててるんだ。加代も一緒に行こうよ」

加代:「・・・行けるかな・・・?」

悟:「行けるさ!」

加代:「・・・うん!」

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一旦家に戻った悟は、夜中家を抜け出し、再び加代のいる廃バスのアジトに戻ってきました。
加代も心細いだろうし、廃バスに朝まで一人にしておくのもかわいそうですからね。

眠れないので、カップラーメンを食べたり朝まで二人で話をして過ごしました。 

夏にキャンプに行く計画があるので一緒に行こうと加代を誘う悟。 

児童相談所に保護された後、どこに行くことになるのか分からないし、先行き不透明な加代の状況。
「・・・行けるかな・・・?」と、先のことが不安そうな加代でしたが・・・。
「行けるさ!」と、悟に力強く言われて、「うん!」と、力強く答えていました。

第3話では、夏になったらまた山の上の「クリスマスツリーを見に行こう」と約束していましたが、また一つ悟との間に約束ができたわけですね。 

ちょっと前までは一人ぼっちで心を閉ざしていて、他人と目を合わせようとせず、「どこか遠くへ行きたい」というぐらいしか願いのない女の子でしたが・・・。
少し先の未来にまた悟との約束ができて、希望が見えてきて、元気が出てきたみたいですね。
悟も2006年の29歳の時は、うだつの上がらない冴えない売れない漫画家でしたが、(自分の心に踏み込むのが怖いと言っていましたが)、
過去に戻って加代を救うことで自分も救われ、人生をやり直せそうな希望が見えてきました。

このまま事件を防ぎ、二人とも無事人生をやり直すことができるのか・・・?

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 八代先生:「加代は遅刻か・・・」

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 あたしが言い出しっぺで、みんなが協力してくれたって事なら

誰もおとがめ無いっしょ

 

トランプをやりながら「結末をどうするか」話し合っていた悟たち。
「俺がちゃんと責任を取るよ」という悟でしたが、
加代は自分が言い出しっぺなら誰もおとがめないっしょ、と言いました。

ところで、加代は基本的に受け身の状態で話が進んでいきますが、せっかくいいキャラなので、もうちょい能動的に? 活躍するシーンとかもっとあったらいいのにな、とかちょっと思いました。 

 

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 悟、遅くなったけど・・・

誕生日プレゼント

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 悟:俺はこの瞬間を

ずっと待っていた気がする

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 悟:「これら」が何なのか

俺だけが瞬時に理解した

 

加代が廃バスに隠れて3日目の放課後、加代は少し遅くなりましたが誕生日プレゼントの手編みの手袋を悟に渡しました。
前回のリバイバルの時はプレゼントを渡す約束は果たされることなく、加代は殺されてしまいましたからね。
時間と空間を乗り越えて、ようやく果たされた約束。
悟にとっては、加代はすでに2度殺された存在ですが、こうして少しずつ歴史が変わり、加代が救われる未来が近づいて来ているわけですね。
感激のあまり思わずうれし涙を流す悟でしたが・・・

加代によると、昨夜遅い時間に何者か(大人の男)が、廃バスにやってきて、リュックサックを置いて行ったとのこと。 
その男はなぜか怒っていて、乱暴に積み上げてあった段ボールに蹴りを入れていました。 
(加代を殺す計画が悟によってことごとく狂わされ、イラついていたんでしょうね)。

その男が置いて行ったリュックサックから出てきたものは・・・「雛月加代殺害事件」で、使われるはずだった道具の数々でした。

これまた偶然で、真犯人も犯罪に使う道具の隠し場所として、この廃バスを利用していたわけですね(隣の小学校で第2の誘拐殺人事件が起きる予定になっていたので、ただの偶然ではないんでしょうけど)。

もし昨夜、犯人が加代がいることに気付いていたら・・・また殺されていた? 可能性が高いですね・・・。

ちょっとした油断や偶然で、またすぐ「加代が殺される」危険な状況はまだまだ継続中・・・ということでしょうか。

 

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いつ殺人犯と遭遇するか分からない廃バスを出て、悟は母親のいる自分の家に加代をかくまうことにしました。

洞察力の優れた悟母は、どうやら悟たちがこの数日加代を守るため、加代をどこかにかくまっていたことに気づいていた様子。

悟に渡した弁当に加代宛のメッセージを書いて入れていたり、加代もその返事を書いていたり、実は悟母と加代の意思疎通も(悟の知らないところで)、できていました。
アニメ版では、原作以上に丁寧に加代と悟母の交流の描写に力を入れていて、一緒にお風呂に入ってキャッキャウフフのアニオリシーンも追加されていました。

特に悟母が作ってくれた朝食を見て、加代が涙を流すシーンは力が入っていましたね・・・。 

悟母の作ってくれた温かい朝食に比べ、加代のいつもの朝食はカップラーメンや食パン一枚、百円玉が2枚・・・とかでしたからね(しかもいつも一人ぼっちで朝食を食べていた)。

第2話で加代は「母親ってそんな大切なもの?」と悟に聞いていましたが、 
こうして悟母と加代母の違いをはっきり見せられると、この後の加代と加代母の決別も当然だよな・・・と、思いますね。

第8話はストーリの進行はゆっくりペースでしたが、加代と悟母の交流に力を入れていた描写の追加は素晴らしかったですね。

アニメ版は小学生編、特に加代の描写に力を注いでいる感じがしますね。 

このアニメ版は非常に丁寧に作られていて、クオリティーが高いので、もっと加代のアニオリ活躍シーンが見てみたいな・・・とかちょっと思いました。

残りの話数で原作を最後までやり切るのは難易度が高そうな気がするのですが、なんならアニオリエンド(加代ルート)でもいいんじゃない? とか思ったりして・・・(まあ無いと思いますけど)。

なんにせよまだまだこの先アニメも原作も続きが楽しみです。

 

 

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