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「僕だけがいない街 Re」【小林賢也(後編)】 外伝 感想


僕だけがいない街 Re』ケンヤ編(後編)を読みました。


この前・後編を一言でいうと、「小林(ケンヤ)少年の成長物語」といった感じでしょうか。

『僕街』本編の主人公、悟の場合はリバイバルという超常現象(超能力?)によって過去に戻り人生をやり直す物語でした(少年が成長する物語ではなく、大人になった主人公が子供に戻り人生を修正する物語)。

今回のケンヤ編では、ケンヤ(少年)が人との出会いや事件を通して成長する姿を描いた「成長物語」(いわゆるビルドゥングスロマン)になっていました。

外伝では、本編の主人公の悟がずっと眠り続けている状態なので、タイムリープ要素が薄れ、サブキャラたちの人間ドラマが作品の内容の中心になっているみたいですね。

タイムリープなどサスペンス要素が薄れているので、本編に比べるといささか地味な印象も受けるのですが、ヒーローにあこがれた少年(ケンヤ)がまっとうに努力して成長していく姿を描いた物語になっているので、ある意味王道の少年成長ストーリーになっていて、なかなか味わい深いエピソードになっていると思います。

外伝第一話の雛月加代も、悟との出会いや事件(悟が真犯人に殺されかけて眠り続けることになった事件)を通して、大きな成長を見せていました。

今回のケンヤ編でも雛月の場合と同様に、ヒーローとしての悟との出会いや事件を通して大きく成長するケンヤの姿が描かれていました。

ヒーローとしての悟に出会う前のケンヤは優秀ではあるけどまだまだ子供で、井の中の蛙のような状態だったようです。
(勉強もスポーツもクラスで一番だったし、すでに将来父親のような立派な職業に就くという目標を持っていたので、「自分だけ特別」「みんな子供っぽい」と、同年齢のクラスメートを自分と「対等」の存在とは思っていなかったようです)。

それが、自分のずっと先を行く悟との出会いによって自分の足りなさを自覚できるようになり、悟に「追いつきたい」「一緒に戦いたい」一心で、自分を変え成長することができました。

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本編4巻で、ケンヤが階段の下から悟を見上げるシーンと、今回のケンヤ編(後編)でケンヤが事件について父親と話をするシーンの構図(悟・父親がケンヤより上あるいはずっと前方にいる構図)が似ていると思ったんですが、これは人物間の上下関係を表すと同時に、「あの人に追いつきたい」というケンヤの目標(あこがれ)を表しているのかなと思いました。

特にケンヤにとってクラスメート(同い年)の悟が、自分よりずっと先にいるということが大きな意味を持っていたみたいですね。

ケンヤにとっては、自分の父親・母親や、悟の母、澤田さんなど、尊敬する大人たちに恵まれていたわけですが、同い年の悟の存在が最も大きな目標(あこがれ)になっていたようです。

ケンヤにとってのこの物語は、自分よりずっと先を行く「ヒーロー(悟)」に追いついて、自分がヒーローと「対等」の人間(=「親友」)になろうとする物語、だったのかなと思いました。

(ケンヤ編前編冒頭で、幼少期「親友」の証として仲が良かった友達に「宝物」の片割れをあげたけど、あっさり捨てられたことがケンヤの心の傷になっているエピソードが語られていた)。


本編8巻で事件解決後(八代の死刑が確定した後)の悟とケンヤの会話もこの作品の名場面の一つでした。

悟:「僕達・・・子供の頃憧れたヒーローに、ちょっとは近づけたかな?」

ケンヤ:「・・・うん ヒーローって言うにはずいぶん無様な気もするけど・・・そう信じたい」

そして二人が言葉を交わした後、固く握手するシーンは二人が「対等」の「親友」同士であることを表した胸熱名シーンだと思います。
(まあ、ケンヤのヒーローだった小学生の悟は実は中身が29歳だったわけですが・・・)

本編だけだと、ケンヤは子供にしてはあまりにも賢過ぎて完璧超人みたいなスーパー小学生なのかな? という印象を受けていたんですが、実は本編の裏側でも成功と失敗を繰り返しながら、ヒーローを追いかけて成長しようと前に進み続けていた少年だったわけですね。

少年が成長するためには、井の中の蛙のような状態から引きずりだしてくれるような、目標になる存在(あこがれの人の存在)が非常に重要ということなんでしょうかね。

ヒーローとしての悟に出会う前は、「自分だけ特別」とクラスメートを見下ろしていたり、勝利した後に「虚しさ」を感じていたケンヤでしたので、なんとなく真犯人の八代と少し共通する部分もあったのかな? とかちょっと思いました。
(外伝で今のところ八代の出番が少ないのですが、ケンヤと八代の絡みとかも見てみたかったですね)。


***


内容的にはやや地味な印象ではあったのですが、ケンヤ編も少年の成長物語として味わい深いエピソードだと思いました。
悟の相棒(パートナー)としてはある意味ヒロインの雛月や愛梨を凌ぐ存在だったのではないか・・・と思いますね(熱い友情)。

外伝があと何回続くのか分かりませんけど、次はだれが主役になるんだろうかと、続きが楽しみですね。
(自分としては、八代にもうひと暴れしてもらいたいとか思ったり)。

何にせよまだ続きがあるようなので楽しみです。
(次号は休載のようですが)。

 

 

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外伝第一話は【雛月加代】でしたが、今回の第二話は【小林賢也】(ケンヤ)が主人公になっていました。

どうやらこの外伝では毎回別の登場人物を取り上げ、各キャラクターを深く掘り下げる・本編を補完するシリーズになるみたいですね。

そういえばケンヤは、悟の相棒役(補佐役)としてかなり活躍していましたが、本編では「ケンヤ本人」についてはさほど深く掘り下げて語られてはいなかったように思います。

今回は「ケンヤ」がどんなパーソナリティーの子供だったのか? 家庭環境(父・母との関係)や、性格形成に影響を及ぼしたと思われる幼いころの心の傷、リバイバル前・後のケンヤ視点から見た悟についてなど、本編ではあまり語られていなかった、「ケンヤ自身」の内面についてより深く・補完的に描かれていました。

ただ、今回のケンヤ編は、前・後編に分かれているので、(=半分読んだだけの状態なので)、少し感想が書きにくい感じがします。 

内容的には前編では、ケンヤ視点で悟が意識不明になるあたりまでのことが語られているだけなので、目新しい展開というか、ストーリー的に大きな動きはなかったように思います。 
多分、後編でケンヤが新たに「前に進む」姿・展開が描かれるのかな? という感じがしますね。

どうせ感想を書くのなら後編も読んでからにしたいところですが、せっかくなので、ケンヤ編前編を読んで、気になったことや思ったことを書いてみようかなと思います(あんまりストーリーと関係ない自分の勝手な感想・解釈という感じ)。

 

児童心理学のケーススタディ

「ケンヤ」といえば本編ではチート級? と思ってしまうほど異常に賢いスーパー小学生でしたが、 (ケンヤも未来からタイムリープしてきた人間なんじゃないかとちょっと思った)、
今回は眠り続ける悟に語り掛ける(独白・告白)のような形式で、ケンヤ本人の内面(葛藤など)が語られていたので、 キャラクターとしての人間味が増した感じがしました。

 

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完璧超人のようなスーパー小学生のケンヤでしたが、幼いころの小さな心の傷などが原因で、素直になれない(他人に距離を置いて、いつも引いて見ている)など内面に多少の葛藤がある少年だったことが語られていました。

家で会話することは少ないけど、弁護士の父親を「尊敬」していたり、 
おしゃれなどに関心が薄く、あまり干渉してこない母親を「対等」の存在のように感じていたり、 
勉強でもスポーツでもクラスで一番で、すでに将来は父親のような職に就くという目標を持っていたので、 
「自分だけが特別」「自分以外のクラスメートは子供っぽい」と、いささかクラスメートを上から眺めているような少年でもあったようです。

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プライドが高くて負けず嫌いなのだと思いますが、勉強でもスポーツでも一番になって、誰かに勝つことに喜びを感じていましたが、その一方で、勝利した後「虚ろな感覚」を感じている自分にも気付いていました。
優等生なので、孤立したりするわけではないのですが、「自分だけ特別」「みんな子供っぽい」と思っていたためか、本当に「友達」だと思えるような相手は一人もいなかったようです。

どうやら、幼い頃親友だと思っていた友達に一対の「宝物」の片割れを親友の証としてあげたのですが、その友達に宝物をあっさり捨てられたことが小さな心の傷になって、他人との間に距離を置いて「引いて見る」性格になっていたようです。 

その程度の思い出なら誰にでもありそうだと思うのですが、そのような自分でも忘れてしまうような小さな傷が、意外に幼児期~児童期の人格形成に影響を与える、ということもあるのかもしれないですね(一つの出来事で性格が決まるほど単純ではないと思いますが)。


この作品はキャラクターの人物造形が、かなり深く練りこまれている感じがします。
今回も、冒頭からケンヤの成育歴(心の傷や家庭環境)から語られるあたり、なんとなく児童心理学(発達心理学)のケーススタディーを読んでいるような印象を受けました。
なんというか、人物造形がテンプレ的ではなく、各キャラクターが発達心理学的に非常にロジカルに作られている? 感じがします。
人物造形が緻密に練り上げられているので、キャラクターの言動が後でちゃんと繋がっていたり、矛盾などが発生しにくくなっているのかなと思いました。

 

悟は軽度発達障害

 この作品の登場人物には、「対人関係に問題がある」キャラクターが多いですね。
主人公の悟、雛月、ユウキさん、サイコパスの八代、あと、今回のケンヤも問題というほどではないかもしれませんが、いつも「引いて見ていて」本当の「友達」がいないということが語られていました。

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今回のケンヤ編では、リバイバル前・後の悟について、ケンヤ視点でそれぞれの印象が語られていました。
バイバル前の悟については、以下の通り。
・人と接するのがヘタ・・・というか、他人に興味がなさそうに見えた。
・そこだけ俺に似ていると思ってたけど、この頃少しずつ変わってきたようだ。
・成績はクラスで真ん中ぐらい。足はそこそこ速い。
・取柄は・・・なんだろう (=まだよく分からない)。

ケンヤにとって悟は、まず第一に「他人に興味が無い奴」という印象が強かったみたいですね。 

あと、リバイバルで中身が29歳になった後のことですが、
悟が授業中に雛月を見ていた時も「悟は(虐待には)気が付かないよな」とケンヤは思っていました。(あまり他人に意識を向けていないので、そういうことには気づかないだろうと思ったんでしょうかね)。
また、「文集は読んだ?」と、悟に聞いて、「読んでない」と悟が答えると、「まあ、悟は読まないよな」とナチュラルに言っていましたけど、そういうケンヤの言い方からも、子供の頃の悟は相当他人に興味を持たない人間だったことが窺えますね。

なんか描写は地味ですけど、子供の頃の悟って割と軽度の発達障害ぽいですね・・・(「アスペルガー症候群」とか「自閉症スペクトラム」というやつでしょうかね)。 

まあ、個性は人それぞれだし、診断名で人にラベルを張ることにあまり意味はないと思いますけどね。(名称はあくまで便宜的なものなので)。 

ネット(2ちゃんとか)見てると、わりと「お前アスペやろwww」とか普通に見かけるようになりましたけどね。(良くも悪くも世間に周知されたということでしょうか)。 

マンガ家とか作家、エンジニアや研究者にはアスペルガータイプの人が多いらしいので、子供の頃は「変わった奴」と思われていても、後に意外な能力を発揮して社会的成功を収める人も少なからずいるみたいだし。

他人に対して興味が薄い悟でしたが、29歳になっていてもまだ「正義の味方」になりたいと思い続けていたり、マンガ家として最後は成功していたり、意外に大物になる素質の持ち主だったんでしょうかね。 

発達障害的な視野の狭さが、意外に「ヒーロー」になる資質だった? りするのでしょうか。
(必ずしも「コミュ障=発達障害」というわけではないのかもしれませんが・・・)

ケンヤは早熟タイプ、悟の場合は大器晩成型・・・だったのかもしれませんね。


***

 


今回のケンヤ編は、リバイバル後、ケンヤの想像を遥かに超えて雛月に「踏み込んで行った」悟にあこがれるようになり、悟に追いつこうと変わり始めたケンヤの内面も語られていました。

しかし、とりあえず、ケンヤ編は前・後編に分かれているので、後編を読んでからまたその時に感想を書こうかなと思います。

 

 

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