「僕だけがいない街 Re」【片桐愛梨】 外伝 感想
『僕だけがいない街 Re』第五話(最終回)を読みました。
今回の主人公は「片桐愛梨」。それも『僕街』本編(8巻)ラストシーンの舞台裏を描くようなエピソードになっていました。
(悟と愛梨が橋の下で出会った一日を愛梨視点でたどる内容)。
本編で愛梨の登場した場面をまとめてみると以下のようになりますかね。
1巻:2006年(17歳) ピザ屋で悟と共にバイトしていた
3巻:2006年(17歳) 殺人容疑者の悟を家にかくまった
6巻:2004年(15歳) 病院で盗撮カメラマンをぶん殴った
7巻:2005年(16歳) 駅で悟とすれ違った(セリフ無し)
8巻:2012年(23歳) ラストシーンで悟と橋の下で出会った
振り返ってみると、愛梨はこの作品のメインヒロインの割には出番が少なめだったかなという感じがしますね。(3巻は出番が多くてヒロインとして重要な役割を果たしていましたが)。
愛梨はピザ屋でバイトしてお金を貯め、高校卒業後日本や世界を旅しながら「空の写真」を撮りたいと言っていました。
今回の外伝のエピソードでは、本編では描かれず空白になっていた、再び悟と出会うまでの愛梨の過ごしていた時間が垣間見えるようなエピソードになっていました。
日本や世界を旅しながら空の写真が撮りたいと夢を語っていましたが、2年ぐらい前からプロ写真家の事務所でアシスタントをしていたようです。
叔父さんの家にもそのまま住み続けていたようだし、さほど生活に大きな変化はなかったんでしょうかね(なんとなく世界を放浪しながら写真を撮るタフなカメラマンになっているような想像をしていたんですけど)。
女子高生の頃はピザ屋の店長や盗撮カメラマンを顔面パンチでぶっ飛ばしたり、天真爛漫で一直線(無鉄砲)なイメージの愛梨でしたが、今回の外伝では23歳ぐらいになっているので、その頃と比べるとわりと落ち着いた感じになっている印象でした。
愛梨がテーマにしている「空の写真」も認めてもらえなくて、壁にぶつかりちょっと停滞しているような状況なんでしょうかね。
そういえば本編6巻で、悟が入院していた病院に愛梨がいた理由も今回出てきました。(従姉のお姉さんが病気で入院していてお見舞いに来ていた)。
6巻の15歳の愛梨は初対面の悟に夢を語っていましたが、17歳の時は「あんまり親しくないし」という理由で悟に自分の夢を話さなかったし、23歳になった今回では写真を認めてもらえなくて笑顔が減り、仕事も辞めてしまうなど、時系列で振り返ってみると大人になるにつれての愛梨の変化(成長?)のようなものも感じました。
本編では天真爛漫で真っすぐでいい所ばかり描かれていた愛梨でしたが、今回みたいな自分の写真が評価されなくて停滞しているところとか、人間らしいエピソードが描かれると逆にキャラクターの魅力が増すように思います。
悟と愛梨は相性がよさそうだし、また出会いからやり直しですが、明るい未来が感じられるような、いろいろ想像の膨らむ良い終わり方でした。
***
ついに『僕だけがいない街Re』も今回で最終回。
私はアニメから入ったクチなので、新参読者だったんですけど、8巻発売ぐらいからはリアルタイムで読んでいて、『Re』も毎月楽しみにしていました。
自分としては、外伝のエピソードとして本編後半に出てきた「久美ちゃん」をフォーローするエピソード(悟のこと意識しているような描写があったので、結構気になる)とか読んでみたかったですね。
あとは、もう少し八代を掘り下げるようなエピソードも読んでみたかったし、雛月加代とヒロミのエピソードも読んでみたかったなと思ったり。
まだ名残り惜しいような気もしますが、まあキリがないし仕方がないでしょうかね。
また三部けい先生の次回作に期待したいと思います。
ありがとうございました。
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